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がんは「熱」に弱い

がんにも弱点があります。それは「熱に弱い」というこです。がん細胞は、約43度の温度で死にはじめます。
1のグラフをみてください。がん細胞は、42.5度を超えると、極端に生存率が低下します。
また2のグラフを見ると、がん細胞は、温度が上がっても血流がほとんど増えていないことがわかります。皮膚と筋肉部分は血管拡張により、42.5度を超えて45度付近まで血流量が増え続けますが、がんの部分は血管が拡張しないため、血流が増えません。つまり、がん細胞は「熱」を逃がす仕組みが弱いのです。がん細胞は、温まりやすく、熱に弱い性質があるといえます。

熱を利用した治療法

「熱に弱い」というがんの性質を利用した治療法には、すでに長い歴史があります。

「ハイパーサミア」というは、患部を42〜44度程度に30〜60分加温する治療法です。この方法は、起源をたどると1866年にさかのぼり、医師W.ブッシュ(ドイツ)の高熱による腫瘍消失報告にあります。後、1900年ごろ、アメリカでも研究成果が確認され、有効な加温方法やがんに対する温熱効果があきらかになりました。1975年第一回国際シンポジウムがワシントンで開催され、がんの新しい治療法への第一歩を踏み出したのです。

日本でも昭和59年に日本ハイパーサミア学会が設立されています。
近代的な温熱療法は、マイクロ波やラジオ波、レーザーを用いる方法もあります。しかし、いずれもがん局所の温度制御や範囲制御が難しく、思わぬ有害事象を招く場合があります。
一方で、43度程度の温熱のみでは、その後にがんが再発したり転移したりする場合もあることがわかってきました。